エッセイ「大事な何か」 第3章 社会 第3項 経済

< 市場と規制 >


 規制された環境がなぜつらいのか、考えます。
まず第一に、上から管理される閉塞感。
第二に、価値観が「減点主義」になること、これが問題です。
そこでの競争は、皆が決められたことをやり(規制されているわけですか)失敗した者から落ちていく、という競争になりますよね、受験のように。


 決められたことをひたすらその通りにやる競争…。
そして、いくらこなしてもこなしても、失敗したと同時にもう終わり…。
それは市場における競争より、ずっと精神的に過酷なものだと思います。
しかも、表向きは自由ということになっていて、でもそれは建て前で現実は「根回し」のように非公式な取引の競争となったら、そこには「不正」との葛藤という苦悩までプラスされる事になります。
(前文の「報われない競争」はそれを描いたものです)


 一方、市場の競争は一見厳しいですが、実はかえって楽かもしれません。
自分のやり方で、自分のペースでできますし(失敗するのも自由^^;)。
それに、市場主義の米国にだってちゃんと規制はあります。
でも、それはあくまで市場原理を損ねたり、個人のやる気を削いだりしない様に配慮された「ルール」作りです。
失敗に乗じて介入して影響力を増大させ、天下りを増やそうとするその仕組みも、陰湿でつらさに輪をかけているのではないでしょうか。






 でも、この減点主義も日本の伝統というわけではない気がします。
戦前や江戸時代など階級はありましたが、国民が一つの定規で測られる減点主義であったわけではないですよね。
これはあくまで、戦後の偏差値教育の賜物ではないかな。
どの子も学校でそう扱われるので、その価値観が染み込まされているだけだと思うのですけど…。


 規制から市場への変化は、減点主義との決別と言えるのではないでしょうか。
もし本当に、新しいことへのチャレンジを望む価値観を標榜するなら、減点でなく多くの失敗の中からプラスを評価する感性が必要でしょう。
それは「失敗するや否や攻撃する」のをやめ、失敗を許容する心を持っていなくてはなりません。
それができた時、本当に変われるのかなって気がします。


99/11/11作成

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