エッセイ「大事な何か」

第1章 人生 第5項 自分

< 本当の自分 >


 誰もそんなこと、言ってなかったのだ。
親も、教師も、周りの連中も、世間の常識も、そして僕自身も・・・。
みんなそっちの選択をする。それは当たり前のこと。
それが通常の価値観、そこには社会的地位がある、優遇された富もある、保証や安定が得られる。。
そっちも何もない、それ以外ない、他の選択肢などなかったはずなのに。


 だが、心は「それは違う、それは違う」と言っていた。
意識はどうしても、それを嫌がった。
表面の僕、今ここにいる自分は戸惑った。それが嫌な理由は知っていたけど、自分にそれを捨て去る自信などなかったからだ。
まがりなりにもこれまでの自分、、それが自分の自信の源だったからだ。
それがなくなったら、自分には何もなくなってしまうのだ。


 そんな中、ふと一つの思いが胸に浮かんだ。
いったい僕は何を悩んでいると言うのだろう。。
そもそも、誰が「それは違う」などと言ってるというのか。
僕はここにいて判断している。合理的に判断すればそれを求めてさえいる。それならば、これはいったいどういうことなんだろう。
それはあまりに不思議に思えた。そしてそれがあまりに不思議なため、自分がそれを確かめる方向に進むのに不安は全くなくなっていた。






 やがて、僕は知る。
自分でいることがこの上なく歓びをもたらすということを、、その歓びは溢れんばかりに満ち満ちているということを。。
人と比べる必要なんてない。
自分が自分でいるって、なんとすばらしいことだろう。
生きるということは、なんとすばらしいことなのだろう。


 人は誰しも心のうちに、「本当の自分」をもっている。
その自分を無視したり否定したりしないで、その声に耳を傾けることってとても大事なことなんじゃないかな、って思う。
それを意識し始めると、これまでの価値観が全く変わったりする。
自分がとても愛しく見え、そして他人もとても愛しく見えるようになる。



2000/12/5作成

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